歯の痛みは永遠

東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 歯周病学分野 准教授

歯科疾患が発症する口腔は最初に食物と出会う場所であり、消化器系の一部をなしております。したがって、食生活と歯科疾患は少なからず関係があります。
歯科疾患の2大疾患はむし歯と歯周病です。いずれも口腔内の細菌が主な原因となっています。歯が抜ける原因はこの2つの病気が大部分を占めています。

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むし歯も歯周病も太古の昔から人類を悩ましてきた病気ですが、やはり文明病といわれるように先進工業国に多くみられます。
その背景の一つには、文明の発達に伴う食生活の変化があげられます。
最近、“ものを噛まない子”、“ものが噛めない子”が増えていることがマスコミをにぎわしています。
また、成人においては顎関節症といわれるアゴの病気も増えています。むし歯の対策としてはショ糖(砂糖)の摂取量を減らし、プラークコントロールを徹底し、唾液の分泌を促し、フッ化物の使用による歯質強化などがあげられます。
さらに大切なことは、年に1度ぐらいは痛みも腫れも何もなくても歯科医院を訪れ、口腔内のチェックと専門的なクリーニング(PMTC)を受けることをお薦めします。

人生80年時代、歯の痛みは幾つになっても永遠ですが、何とか智恵を出してその痛みから解放されたいものです。
その手助けとして、むし歯のリスク度を調べるチェックリストを作りました。
あてはまる項目の合計点数でリスク度を算出します。点数を足していって、9点以下ならむし歯リスク度は低いと言えます。
天気になぞらえると晴れです。10〜21点だとリスク度はやや高く曇りで、22~30点ならリスク度は高く雨で、31点以上はリスク度が非常に高く暴風雨と考えられます。
さて、あなたのむし歯のリスク度はいったいどのくらいでしょう?

 

                                                                                                                                                        先生のお話へ戻る

著者

渡辺 久

東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 歯周病学分野 准教授