花ひらく春は花粉症の季節


image-20220510155533-1 庭の水仙の葉がぐんぐん伸びてきました。例年より少し遅れたものの、紅梅のつぼみもようやく色づいて、おひな様の頃には可憐な花を楽しめそうです。
  おひな様に添える桃の花は新暦の3月だとまだ咲いていないのでほとんどがハウス栽培ですが、梅も桃も古来より邪気を祓うといわれた神聖な花。ひな祭りは花ひらく春の訪れです。

  とはいえ、春の訪れは杉の花にも。スギ花粉症の患者さんには気が重い時期ですが、花粉症対策は「物理的にできるだけ花粉にあたらないこと、花粉症の薬をうまく使うこと」に尽きます。
普段より日中の最高気温が高い日、前日に雨が降って翌日にカラッと晴れた日、晴れて空気が乾燥して風が強い日は、特に注意しましょう。

  マスクを使うと花粉を吸い込む量が6分の1以下(厚生労働省HPより)になりますが、ここで大切なのがマスクのつけ方。頬の横や鼻の上部が大きく開 いている人をよく見かけますが、これではマスクの効果は激減。手早くうまくつけるには、鼻の部分にノーズフィッターが付いているマスクがお勧めです。

  マスクを正しくつけるポイントは、鼻・頬・アゴの3カ所がフィットすること。ノーズフィッターを上にして顔に当てながらヒモを両耳にかけます。この時、頬の部分が浮かず、耳が痛くならないサイズが自分に合ったサイズです。

  外すときに室内に花粉や細菌を飛散させないことも大事です。鼻や口、マスクに触れないようゴムひもを持って静かに顔からはずし、そのまますぐにビニール袋に入れて口を閉じるか、フタ付きのゴミ箱に捨てましょう。

  今季は、花粉症の薬のスイッチOTC(Over The Counter 医師の処方箋なしに薬局で買える)も話題です。現在の医療現場でよく使われている第2世代抗ヒスタミン薬が数種類、医療用の用量そのまま で、医師の処方箋なしに薬局で購入できるようになりました。

  「突然症状が出てすごく苦しいけれど、診療所も病院もお休み。困った!」という場合、薬剤師のいる薬局に直行すれば、これまでに処方されていたのと同じ薬を購入できる可能性もあります。

  ただ、花粉症は症状が続く期間が長いので、1シーズン通してOTC薬にするのはまだ早計。現時点では、あくまでピンチヒッターです。
専門医のお話では、「新発売のOTC薬には、作業効率が落ちにくい、眠くなりにくいなど副作用のリスクが低いものもありますから、薬剤師とよく相談してください。薬剤師に勧められた薬が1週間たっても効かない場合、速やかに受診してください。」

  今年こそ、花粉症と受け付き合って、麗らかな春を満喫しましょう。

 

コラムニスト 鈴木 百合子

 

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