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  むし歯とは                                        

お口の中では歯が溶け出す脱灰(だっかい)という作用と、溶けた歯が再び元の状態に戻っていく再石灰化(さいせっかいか)という作用が日常的に繰り返し起こっています。

歯は、唾液の成分によって保護されていますが、砂糖の入った食物などの摂取で細菌が作る酸によりお口の中が酸性へ変わると、少しずつ歯の表面からカルシウムイオンなどが溶けだして脱灰が進んでいきます。だ液の働きなどにより再び環境が(中和へ)改善されると、溶け出したイオンが歯の表面に戻り、修復する再石灰化が起こります。私たちの口腔内では、脱灰と再石灰化が日常的に繰り返しており、脱灰と再石灰化のバランスがとれていれば、脱灰が再石灰化以上に進行することはなく、口腔内は健康な状態に保たれているといえます。

脱灰と再石灰化のバランスがとれているときは健康な状態と言えます。何らかの理由でこのバランスが崩れるとむし歯になるのですが、むし歯は2つのステップを踏んで進行します。

 むし歯

むし歯1. 初期のむし歯(表層下脱灰病変)

脱灰を促す因子(細菌や糖)の攻撃力が再石灰化を促す因子(唾液やフッ化物)の防御力を上回ると、脱灰が進み、う蝕となってしまいます。初期のう蝕病変は,ミネラルの密度が表層下が最も低く,表層ではむしろ高くなっているため,表層下脱灰病変とよばれています。表層下脱灰病変には実質欠損がなく、臨床的にはエナメル白斑(ホワイトスポット)として診断されます。この脱灰>再石灰化の状態が続くと、歯に穴が開く、実質欠損をともなうむし歯(う蝕)となります
 

2. 進行したむし歯(う窩洞形成性う蝕むし歯

表層化脱灰の状態からさらに脱灰が進行すると、とうとう歯の表面に穴が開いてしまいます。この状態をう窩形成性う蝕といいます。こうなるとむし歯の部分を削ってつめるという処置が必要になります。

 

  むし歯は治る?                                 

残念ながらむし歯をほうっておいても治ることはありません。ただし、初期のむし歯(表層化脱灰)の状態にある時はそれ以上歯が溶けていかない(脱灰が進行しない)ような手段をとることでむし歯の進行を停止させることができますし、溶けた歯を元にもどす力(再石灰化)を促進させる手段を講じることでむし歯を治すことが可能です。しかしながら進行して穴の開いてしまったむし歯(う窩形成性う蝕)を元のように戻すことはできません。この場合は詰め物をするなどの処置が必要となります。初期の段階であれば適切な処置をすることでむし歯を治すことができますので、定期的に歯科医院に通院しむし歯のない健康な状態を維持しましょう。

  むし歯の進行                                     

むし歯は治療をしない限り進行します。むし歯の進行段階はC0からC3と進みます。C0はの表面が白く濁った色になり、ザラザラした感じになります。まだ穴はあいていませんが、進行する可能性が高いので注意が必要です。C1歯の表面にあるエナメル質に小さな穴ができます。痛みなどの自覚症状がほとんどないので、気がつかないこともあります。C2はエナメル質の奥の象牙質までむし歯が進んだ状態です。甘いものや冷たいものがしみるようになってきます。C3は歯の神経やその近くまでむし歯に侵させています。神経が炎症を起こしているので、非常に強い痛みを感じます。

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  生活習慣との関係                                     

大いに関係あります。むし歯は、むし歯菌によってひき起こされる病気ですが、むし歯菌はほとんどの人の口の中にいるといわれています(数には個人差があります)。それなのに、むし歯が多い人とむし歯がない人がいるのはなぜでしょう。それ以外の原因があるからです。その原因こそ、生活習慣であるといえます。不規則な生活(特に食生活)がむし歯を招くわけです。逆を言えば、生活習慣を見なおすことで、むし歯はある程度防ぐことができます。規則正しい食生活、毎日の歯みがき習慣、そして全身を健康に保つこと、これを意識して行なうことが最も重要なのです。

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