生えはじめ(乳歯列期)

歯が生える時期

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乳歯は生後半年過ぎに下の前歯から生えてきて、お誕生日の頃までに上下切歯4本づつ、3歳までに臼歯を含めて全部で20本生え揃うのが普通です。多少の遅れは気にかける必要はありませんが、1歳を過ぎても生えてこないようなら、歯科を受診なさることを勧めます。

乳歯がなかなか生えてこない原因として、乳歯が生えるのが遅くなるような(萌出遅延)全身疾患に罹患している、歯の数がもともと少ない(先天欠如)などが考えられます。歯の萌出遅延を伴う全身疾患としては、くる病、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)、ダウン症、鎖骨頭蓋異骨症などが知られています。多数歯の先天欠如を伴う遺伝疾患には、汗腺や髪の毛の形成などに異常が観察される外胚葉異形成症、出生後皮膚に特異な色素沈着が起こる色素失調症が報告されています。

 

この他、下あごの左右中切歯がともに隣の側切歯とくっついている歯(癒合歯)をもっている子どもでは、最初の下あごの歯が生えてくる時期がかなり遅くなることがあります。

 

おしゃぶりと歯並びについて

pic最近、街でカラフルなおしゃぶりを使っている乳幼児を見かける機会が多くなりました。日本では、おしゃぶりの使用は欧米よりずっと少ないといわれていたのですが、欧米並みの育児法が増えているのかもしれません。おしゃぶりはイギリスでは主にdummy、アメリカではpacifierと呼ばれるように、母乳による授乳が十分でなく哺乳瓶を使用している場合、お母様の乳首の代用品(dummy)であり、乳幼児の気持ちをなだめる(pacify)効果があると考えられています。

 

 

おしゃぶりを長期間使えば使うほど、多くの幼児で歯列の形態に何らかの影響が認められます。特に上あごの切歯が少し前に出たり、かみ合った時も上下の切歯の間に隙間(開咬といいます)ができたりします。ただし、この隙間を埋めるように舌を突き出す頑固な癖が生じない限り、開咬は自然に治ることも多いようです(写真参照)。一方、おしゃぶりの副次効果として、無意識に口をあいていることが少なくなり、鼻呼吸が促されることを挙げる育児関係者もいます。

 

 

pic5おしゃぶりの功罪については多様な意見がありますが、本来の目的を考えれば、離乳が終了する1歳半過ぎにはおしゃぶりに頼らない育児が好ましいと思われます。