ワクチンで守りたい、たいせつな命2013.12.05

ワクチンで守りたい、たいせつな命

  いよいよ師走。インフルエンザワクチンの予防接種シーズンが始まりました。感染性胃腸炎(ノロウイルス)の患者発生数も、例年、12月の中旬頃にピークとなる傾向です。
  ついご自身の健康を後回しにしがちな時期ですが、ご家族や患者さんを守るためにも、いつも以上にお身体をいたわってお過ごしください。

  さて、かつて日本人の死因の第1位は「風立ちぬ」にも出てくる結核でした(1950年まで)が、BCGワクチンの定期接種が始まったおかげで、患者数が激減しました。
  結核は、典型的なVPD(Vaccine Preventable Diseases=ワクチンで防げる病気)です。厚生労働省によると、乳幼児期にBCGを接種することで結核の発症を52〜74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64〜78%程度予防できるそうです。

  ワクチンが防ぐのは、(1)感染するリスク、(2)感染させるリスク、(3)感染して重症化したり重篤な後遺症を残したりするリスク。
  VPDで有名な麻しん(はしか)も、重篤な合併症を起こしやすい病気。2001年に流行した時には約30万人が罹患して、80名前後が死亡したと推定されています。

  麻しんと混合接種する風しんは、今年6月に患者数が累計1万人を突破して、話題になりましたね。
  この流行のせいで、1993年以来、ほとんどいなかった先天性風疹症候群(CRS)の赤ちゃんが昨年以来、急増しています。眼球異常、難聴、心臓の奇形、中枢神経障害などの重い症状が残る場合もあり、看過できない状況です。

  残念ながら今の日本は、ワクチンに関しては先進国とは言えません。その原因は、「予防接種は危険だから受けない」と漠然と考える保護者がかなり多いこと。
  医療関係者から見ると、非常に危険な考え方ですが、これは予防医学を無視して、国民が関心を持ちやすい予防接種の健康被害ばかりをセンセーショナルに伝えてきたマスコミにも責任があります。

  長年、臨床医として子どもたちや保護者の方と向き合いながら、予防接種やワクチンに関する情報を幅広く発信されている小児科医の先生は、「子どもに予防接種を受けさせていない保護者でも、結核や麻疹などのVPDにかかった時の大変さや、諸外国の予防接種情報を一人ひとりに伝えると、ほっとした様子で接種を受けられます」と話されます。

  VPDが守るのは、たいせつな人の命。今一度、ご自身の体調管理について考えてみませんか。

コラムニスト 鈴木 百合子